高齢者の口臭の原因は?

高齢者の口臭の原因は?

高齢者の口臭の主な原因は、唾液の減少による口の乾燥、歯周病やむし歯、舌の汚れ、入れ歯の清掃不足です。年齢そのものが口臭を起こすというより、加齢に伴う口腔内の変化、服用薬、病気、手入れのしにくさなどが重なって発生します。

高齢者の口臭で多い原因

唾液が減って口が乾燥している

唾液には、口の中の汚れや細菌を洗い流す働きがあります。加齢、脱水、口呼吸、会話や食事の減少、服用している薬の影響などで唾液が減ると、細菌が増えて口臭が強くなりやすくなります。

口の中がねばつく、舌が乾く、水を頻繁に飲みたくなる、入れ歯が外れやすいといった症状があれば、口腔乾燥が関係している可能性があります。

歯周病やむし歯がある

歯周病では、歯と歯ぐきの間に細菌や汚れがたまり、においの原因となる物質が発生します。歯ぐきから血が出る、腫れている、口の中が苦い、歯がぐらつく場合は、歯周病が口臭に関係していることがあります。

むし歯が進行して歯に穴が開いたり、歯の根の周囲に炎症が起きたりした場合も、口臭の原因になります。

舌に汚れが付いている

舌の表面に白色や黄色っぽい汚れが付着したものを舌苔(ぜったい)といいます。舌苔には食べかすや細菌が含まれるため、厚く付いていると口臭が強くなることがあります。

口が乾燥している人、舌を動かす機会が少ない人、歯みがきが十分にできない人では、舌苔がたまりやすくなります。

入れ歯に汚れや細菌が付いている

入れ歯は、見た目に汚れていなくても細菌や食べかすが付着していることがあります。入れ歯を付けたまま寝る、洗浄が不十分、入れ歯と歯ぐきの間に汚れがたまるといった状態では、口臭が起こりやすくなります。

入れ歯の痛みや不具合があると、歯みがきや食事がしにくくなり、さらに汚れが残ることもあります。

歯みがきや口のケアが難しくなっている

手の動かしにくさ、視力の低下、認知機能の変化、体力の低下などにより、本人が十分に口の中を清掃できない場合があります。介助者がケアを行っていても、歯の裏側、歯と歯ぐきの境目、舌、入れ歯の内側などに汚れが残ることがあります。

薬や病気が影響している

服用している薬の中には、口の乾燥を起こしやすいものがあります。薬の種類は多く、自己判断で中止すると危険な場合があるため、口の乾燥や口臭が気になるときは、処方した医師や薬剤師に相談してください。

糖尿病などの病気や、鼻・のどの病気が口臭に関係することもあります。ただし、口臭だけで病気を特定することはできません。まず口の中を確認し、必要に応じて医療機関で調べます。

原因を見分けるために確認すること

口臭の原因は一つとは限りません。次の項目を順番に確認すると、歯科で相談するときにも役立ちます。

  • 口の中や舌が乾いていないか
  • 歯ぐきの腫れ、出血、痛み、歯のぐらつきがないか
  • 舌に白色や黄色っぽい汚れが厚く付いていないか
  • むし歯、歯の穴、詰め物の周囲の痛みがないか
  • 入れ歯を毎日外して洗浄しているか
  • 入れ歯を付けたまま寝ていないか
  • 最近、薬が追加・変更されていないか
  • 水分摂取量が減っていないか
  • 鼻づまり、鼻水、のどの痛みなどがないか

口臭の強さは本人だけでは判断しにくく、においの感じ方にも個人差があります。家族が気付いた場合は、責めるのではなく「口の乾燥や歯ぐきも一緒に見てもらおう」と伝えると、受診につながりやすくなります。

口臭が気になるときの対処法

まずは口の中の汚れと乾燥への対策を行います。無理なく続けられる方法を選ぶことが大切です。

  1. 歯ブラシで歯の表面だけでなく、歯と歯ぐきの境目もやさしく清掃する。
  2. 歯間ブラシやデンタルフロスが使える場合は、歯ブラシが届かない部分も清掃する。
  3. 舌に汚れがある場合は、舌ブラシなどで強くこすらず、奥から手前へやさしく清掃する。
  4. 入れ歯は外して洗い、入れ歯用洗浄剤の使用方法に従って清潔に保つ。
  5. 医師から水分制限を受けていなければ、こまめに水分をとる。
  6. 食事や会話などで口を動かす機会を保ち、唾液が出やすい状態をつくる。

歯みがきや舌の清掃で痛みや出血が続く場合は、力を弱めるだけでなく歯科に相談してください。口腔ケア用の保湿剤などが役立つこともありますが、使う製品は口の状態や入れ歯の有無に合わせて選びます。

歯科を受診したほうがよい症状

口臭が数日から数週間続く場合、または次の症状がある場合は、歯科で口の中を確認してもらいましょう。

  • 歯ぐきの腫れや出血が続く
  • 歯が痛い、ぐらつく、噛みにくい
  • 入れ歯が痛い、外れやすい、汚れが取れない
  • 舌のただれ、出血、しこり、治らない口内炎がある
  • 口の乾燥が強く、食事や会話がしにくい
  • 口腔ケアをしても口臭が改善しない

歯科で歯周病やむし歯、入れ歯、舌の状態を確認し、必要に応じて口腔ケアの方法を調整します。口の中に明らかな原因がない場合や、強い口の乾燥、鼻・のどの症状、全身の不調がある場合は、かかりつけ医や耳鼻咽喉科への相談が必要になることもあります。

高齢者の口臭は「年齢のせい」と決めつけない

高齢者の口臭は、唾液の減少、歯周病、舌苔、入れ歯の汚れ、薬や全身状態などが複数重なって起こることがあります。年齢だけが原因だと考えると、治療できる歯周病や入れ歯の不具合を見逃す可能性があります。

最初に歯と歯ぐき、舌、入れ歯、口の乾燥を確認し、続く口臭や痛み・出血がある場合は歯科を受診することが、原因を見つけるための基本です。